当診療所は故Dr.ビーチの思想に基づいて設計されていますが、その理論はシンプルでありながら実に合理的、かつ機能的です。

診療台が椅子ではなくベッドなのは、Dr.に余計なストレスをかけないようにして精密な作業がしやすくするためであるとは以前投稿しましたが、その他にも治療器具を置く台は手を伸ばさなくても済むよう肘の可動範囲内に収まるように、治療スペースは扉や壁で完全に部屋として仕切らず、それでありながら外部からはあまり見えない空間を確保したり、歯科診療において最も重要なのは予防歯科であるということで、待合室に最も近い位置に衛生士専用の診療台を設置したりと、これらは全て私が生まれる前に考えていたことです。

そんな時代に既に今では当たり前のバリアフリーの概念を、今ほど徹底したわけではないですが既に取り入れてました。

例えばDr.ルームの独特な形状の机はきちんと肘の可動範囲を計算して作られた形なのですが、結果として角がなくなり、スペースも広くなったうえ、部屋に患者さんを誘導した際にその曲がり具合によって自然とソファへ足が向くようになっています。

また、患者さんに説明する際に腰かけてもらうソファは気分が悪くなった人が出たという時に簡易ベッドとして使用出来ますし、Dr.ルームにのみ例外的に戸が据え付けられているのも、こういった事態にプライバシー空間を確保するためでもあります(普段は更衣室としての役割も兼ねています)。

当医院に来られた患者さんには床がカーペット敷きにも関わらず土足のまま入れることに驚きを感じた方もいらっしゃったかもしれませんが、これも理由がありまして、足が不自由な人が来られた際、スリッパに履き替える手間を煩わせないためだと聞いています(今にして考えればDr.ビーチがアメリカ人であったことも関係していたかもしれません)。

・・・その分、掃除はしっかりしないといけませんが(^^;

 

ただ、いくら患者さんがやり易くなるといっても雨の日ともなれば話は別。

その日ばかりは靴を脱いでスリッパに履き替えて頂くことにしています。

ただ、それまでは単にスリッパ立てを持ち出していただけだったのですが、このたび思い切って滅菌装置つきのスリッパ収納を置くことにしました。

それに合わせてスリッパも久方ぶりに新調してあります。

というか、スリッパの新調に合わせて滅菌装置を購入した、が正解ですが・・・。

靴と違い、スリッパは基本的には共有なのでその除菌については前々から気になっていましたから、これで解決できます。

もちろんこの装置を使うのも雨の日限定。

普段は今まで通り、土足で大丈夫です(^_^)