ムーシールドはお口の周りや舌の筋肉の不調和を整え、顎を正常な位置に戻すよう筋肉を訓練する装置です。唾をのみ込む際、人は口を閉じて飲み込みますが、その時に働いた筋肉がムーシールドのおかげで顎を正常な位置に戻すよう誘導・訓練される仕組みになっています。
下顎の上に上顎が覆い被さる正常な咬合では、上顎の前歯が下顎の骨の成長を押さえつける形となって突き出るのを止める役割を果たしてくれます。しかしながら反対咬合をそのまま放置しておくと下顎の骨が過剰に成長してしまい、ますます治療が難しくなってしまいます。お子さんの負担を軽く済ませるためにも、反対咬合は大きくなる前に治してしまいましょう。
①口を閉じて唾を飲み込もうとすると、ムーシルドによって押し上げられた舌が、上の前歯を押し出します
②下前歯に舌の力がかからなくなり、代わりに下唇からの力によって内側に押し込まれます
③上唇によって押し込まれる力はムーシールドによって妨げられます
ムーシールドは就寝時に装着することをお勧めしています。これは寝ている間だけ装着することがお子さんへの負担が少ないとされているからです。むろん起きている間もはめていただければそれだけ効果は高まります。
一般に矯正全体に言えることですが、ムーシールドの装着は早ければ早いほど効果が高くなります。理想は乳歯の段階で始めることですが、場合によっては乳歯の一部が永久歯に置き換わったとしてもムーシールドによる改善が見込まれることがあります。
反対咬合には歯の位置や口腔周囲の筋肉が正しく機能しないことで歯の噛み合わせが逆になった機能性反対咬合と、顎の骨の発育に問題があって生じる骨格性反対咬合の２種類が存在します。ムーシールドは一般に機能性反対咬合の改善に効果が高く、骨格性反対咬合には効果が低いとされています。
特に骨格性の反対咬合においては遺伝によって生じる場合がほとんどです。このため、親類縁者に反対咬合の方がいる場合、生まれた子も反対咬合を伴っている場合があります。しかしながら早めに対処することでかなり改善出来ることがあります。いずれにしても早めの受診と治療をお勧めします。
ムーシールドは自分で取り外しできるという仕組み上、装着する本人の協力が欠かせません。 ３歳から装着出来ますが、実際に装着出来るかどうかは本人の精神的成熟度に大きくかかわっています。
負担が少ないといっても装着自体を嫌がったり、無意識に口から取り出してしまうことも珍しいことではありません。多くの場合、回数をこなせば自ずと改善するので無理強いはしないことです。
また、そのような場合には昼間テレビを見ている時に練習する等、起きている時に慣らすのもよい方法です。
いずれにせよ、成功に導けるか否かは本人以外に保護者の協力が必要不可欠となっています。
治療期間はおよそ１年間を目標にしていますが、きちんと使用すればおおよそ３ヶ月から８ヶ月で反対咬合の改善が認められます。一度改善すればもう大丈夫という人が大半です。
しかしながら今後お子さんの成長がスパートする頃に伴い、噛み合わせが再び元に戻ってしまい、再治療が必要となってしまうこともあり得ます。特に遺伝的に反対咬合を持つ家系だとその傾向は高くなります。このため、治療終了後も定期検診を受診することをお勧めします。
使用には歯科医師による定期的な観察が必要です。調整を必要とする場合もありますので指示に従って必ず通院してください。どのような装置であっても治らないことはあり得ます。純粋に改善する効果がなかった場合もありますが、多くの場合正しく使われなかった等の使用方法に問題があります。担当医の指示に従ってください。
費用
診査・・・２０,０００円（税別）
装置装着・・・１００,０００（税別）
調整・・・４,０００円（税別）
※回数に関係なく、同じ月間内であれば一律となります。
