今年から障害者に対しての技術と知識を身に着けるため、県の歯科医師会が携わっている障害者向けの歯科診療に担当医として参加することにしたことを以前投稿しましたが、今日その当番が初めて回ってきました。

場所は県歯科医師会館内にある山口県口腔保健センター。

一度見学に訪れた際、診療にあたって大事なものは技術よりもむしろいかに患者さんの気持ちに寄り添ってあげられるかという心の方だということを痛感しました。

こういうのも恥ですが、私は結構自己中心的なところがあり、診療中においてもしばしば感情が表に出て周りに不快な思いをさせてしまい、後で後悔することが多々あります。

院長として自己制御の能力が完全ではないと自覚しているために、今回患者さんとの間に何かトラブルでも引き起こしてはしまわないかと内心かなり緊張していました。

 

結論から言えば今回は特にトラブルもなく診療することが出来ました。

理由としてはまずここに来る方々の半数は障害者であっても元々の歯科に対す意識が高く、定期的なメンテナンスのために訪れていたため、私たち歯科医師の出番がほとんどなかったこと。

そして担当は私以外にもう一人ベテランの先生がいまして、その人から適切な指導を受けられたことが挙げられます。

スタッフの方々に至ってはセンターに常勤していますので、そちらの方面からも大いに助けて頂きました。

それゆえ本当に治療が必要な方が来院されたとしても、設備の問題で多少の使い勝手の悪さは感じましたが、診療所そのものは滞りなくすることが出来ました。

 

基本的には患者さんのペースに合わせ、無理はしないというのが障害者歯科の診療方針ですが、残念ながら中には止むを得ず力づくで押さえなければならない場面も出てきます。

今回もそんな場面があって私ではなくてもう一人の先生が担当しましたが、そういった場面に遭遇しても付き添いの家族やスタッフの方が一致団結して協力して押さえてくれてましたので、無事に終わらせることが出来ました。

思っていた以上に周りからのサポートが強力ですので、今後も安心して治療に取り掛かることが出来そうです。

 

今回診療して思ったのは付き添いの家族についてのことでした。

患者さんが障害者ですからほぼ例外なく付き添いが付き、大抵は親がその役割を担っています。

患者さんが年齢を重ねれば当然親も年を取るわけですが、どの親御さんも我が子に対して深い愛情を注いでいることがはた目にもわかりました。

自分も親になってからわかりましたが、我が子はやはりかけがえのない存在です。

たまたま自分の子は何の障害もなく健康そのものですが、それでも毎日の世話には手を焼かされます。

ましてや障害を持つ子の親ともなるとその苦労は比べ物にもならないでしょう。

それでも子供を大事にしたいという親心、とても感銘を受けました。