私達歯科医師は言うまでもなく口の中の専門家ですが、ずっと臨床の場に立ってつくづく思うことは、全身の状態と口の中は密接にかかわり合っているということです。

まあ、口も所詮体の一部ですから、そこだけ影響受けないことなどあり得ない。

考えてみれば当たり前のことですが、専門家というものはどうしても自分の分野だけに注目しがちなところがありますから、他に原因や影響があるかもしれないのにそこまでたどり着くことが出来ないことも起こしてしまうことがあります。

そんな問題を解消するためには、自分の専門外分野の職種の方々との連携が欠かせません。

こういった動きは全国的に見られるものでして、新聞などでも知っている方はいらっしゃるかもしれませんが、ここ宇部市においてもその機運が高まっており、今日初めて歯科医師会、医師会、薬剤師会が連携した研修会が、多世代ふれあいセンターで行われました。

今回のテーマは骨粗鬆症の薬とその副作用について。

分かりやすく言えば骨粗鬆症とは骨の密度が薄くなってスポンジのようになり、簡単に骨が折れやすくなる病気でして、よく高齢の女性に起こることで知られています。

それを防ぐための骨吸収抑制薬が存在するのですが、薬である以上、リスクというのはあり、それを服用されている状態で抜歯をすると、抜いた周囲の骨が壊死してしまう事例が報告されています。

必ずしもそうなるわけではない(むしろならない可能性の方が高い)のですが、事が起こると重症な問題になりますので、歯科医療に携わる者としてはどうしても看過出来る問題ではありません。

臨床の場では骨粗鬆症の患者さんであっても、抜歯が避けられない、もしくは最善の方法であるということがどうしても出てくるからです。

今回の研修会では、そもそもなぜリスクのある骨吸収抑制薬を使うのか、実際どのくらいの頻度で起こるのか、起こった場合どう治療するか、それを未然に防ぐために歯科・医科・薬科でどのように連携するか等多岐に渡って話がありました。

予定を大幅に越えて時間はかかりましたが、今後の活動について実に有意義な研修会だったと思います。